静かなブームが続いている仏像。それぞれの特徴を知っていれば、仏像鑑賞がもっと楽しくなるはず。今回は、初心者にもわかる仏像の見方を紹介します!

世知辛い世の中だからこそ、癒しを求めてしまいますね。そんなときおススメなのが仏像鑑賞。心がとっても安らぎます。基本的なことを知っておけば、仏像を見ることが、より楽しくなりますよ!

仏像の種類

仏の世界は、大きく4つに分けられています。

如来

一番偉いのが、如来という名前のつく仏。如来は、「悟りの境地に達した」という意味なんです。そのため、釈迦が悟りを開いた後の姿が基本形になっています。釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来など。有名な東大寺の大仏(毘盧遮那仏)も、如来の仲間です。

菩薩

菩薩は、あと少しで悟りの世界に行けるという存在で、多くの人を救うことを目的としています。弥勒菩薩、観世音菩薩(観音様といわれているものです)、地蔵菩薩などはよく見かけるのでは? 観音様には、変わった形のものが多く、顔が十一ついている十一面観音、思いにふけるようなポーズをしている如意輪観音、手が千本ついた千手観音などがあり、どの観音様もとっても個性的!

明王

明王は、大日如来の化身ともいわれています。ポーズも動きがあるものが多くて、手には武器を持っています。明王でよく見られるのは、お不動さんの名前で知られる不動明王でしょう。その他に、愛染明王、孔雀明王などが有名です。明王は、教え諭しても、なかなか従わない人々を、強引に仏の道に導く役目を持っています。だから、表情はすごく怖い! 孔雀明王だけは例外で、とても優しいお顔をしています。

天

天は、仏や仏法を守る役目をしています。梵天、毘沙門天、帝釈天など○○天とつくものが天の仲間になります。釈迦が王子の頃に仕えていた家来がモデルになっています。天はもともと、インドの神様なんですが、仏教の世界にとりこまれました。福をもたらす神として、私たちにはとても身近な存在!大黒天(大黒様)、弁財天(弁天様)などは、馴染み深いでしょ!? 男女の区別があるのも天の特徴です。

仏像のファッション

続いて、仏像のファッションチェック! 仏像をよく見ると、種類によって着ているものが違うんです。

如来は、1枚の大衣を着ているだけで、飾りはなにもありません。前述したとおり、地位や財産、家族などを捨て、出家した後の釈迦の姿を基本としているからです。

ただし、大日如来だけは、宝冠をつけ、装飾具を身につけています。

出家前である王子時代の釈迦をモデルにしている菩薩は、如来と違いとても華やか。長い髪を結いあげ、着ている服はもちろん、装飾品も凝ったものになっています。まだ悟りに達していない明王や天も、菩薩同様、着ているものや装飾具にこだわってつくられているので、細かいところまで、じっくり見ることをおススメします!

仏像豆知識

なんで、パンチパーマの仏像がいるの?

パンチパーマではありません(笑)。あれは、螺髪(らほつ)といって、悟りを開いた仏様の特徴なんです。貝殻のように髪の毛を右巻きにしてあるものが並んでいます。また如来の頭が盛り上がっているのも、同じように悟りを開いた印。この盛り上がっているところを肉髻(にっけい)といい、如来だけがこういう頭の形をしています。


仏像のおでこに、ホクロがあるのはなぜ?

ホクロのように見えますが、あれは白毫(びゃくごう)といって、白く長い毛が巻かれたものなんです。伸ばすと1丈5尺(約4.5m)あるといわれています。仏像では、水晶を埋め込んで表していることが多いです。この白毫から、慈悲の光が放射されているんですよ!


座っている仏像と立っている仏像って、なにか違うの?

座っているものを坐像、片足を降ろし、もう片方の足を膝に乗せているものを半跏像、立っているものを立像といいます。座っているものは、人々を救うことを一生懸命に考えている姿を表しています。半跏像は、人々を救うために、まさに立ちあがろうとしている瞬間です。立っているものは、積極的に救おうとしている姿なんですよ。


千手観音ってあるけど、本当に千本手がついているの?

実際に千本手がついているのは、案外少ないのです。有名なのは、奈良の唐招提寺と大阪の葛井寺の千手観音です。よく目にする千手観音は、手の数が簡略化されていて、真ん中で合掌している手(2本)+40本という形がとられているんです。2本の手を除いた40本が、それぞれ25の世界を救うとされています。25×40で1000となるわけですね。ひとつひとつの掌に一眼を持っていて、すべてを見通し、千本の手で、どんな人にでも救いの手をさしのべてくれるのです。さすが、観音様は慈悲深いです!


大笑いしている仏像があるって本当?

仏像が笑っている…なんて、ちょっと信じられないですよね。ところが、十一面観音の後頭部のところに、笑っている顔があるんです。十一面のうちのひとつである「暴悪大笑面(ぼうあくだいしょうめん)」。すごい名前ですね。世の中の悪を笑い飛ばしているという意味が込められているそうです。そのせいか、笑っているんだけど、ちょっと怖いような気も…。滋賀県にある向源寺の十一面観音の暴悪大笑面は、かなりインパクトがあるので、機会があったらぜひ見てみてください。観音様のお姿も、とても美しいですよ。

仏像界のイケメン

さらに仏像に興味を持ってもらえるよう、最後に仏像界のイケメンを紹介しちゃいます。 仏像界にも、思わず見とれてしまうようなイケメンが大勢いるのですよ! その中から、悩みに悩んで4人をピックアップ!

正統派美系好きのあなたには

帝釈天(京都・東寺)

帝釈天

う…美しすぎる!ちょっとうつむき加減のこのお姿。本物を目にしたら、しばらく放心状態になってしまうはずよ!私なんて、生でお姿を拝見したときは、30分以上も見とれていたわ(うっとり)。もともと帝釈天は武勇の神。内に秘めたる闘志みたいなものを感じるわよねー。凛とした感じがとてもステキ!

草食系男子好きのあなたには

弥勒菩薩(京都・広隆寺)

弥勒菩薩

これまた美しすぎ!ちょっと微笑んだような表情を見て、思わずため息をついてしまったわ。とても心が穏やかになるのよね。お顔だけじゃなく、指先、体つき、全体から繊細な感じがにじみ出ているの。なんかこう、癒しのオーラが出まくっている感じ。慈悲の仏様というのが、よくわかるわ!

年下好きのあなたには

阿修羅(奈良・興福寺)

阿修羅

大ブームとなった阿修羅。私も、あの憂いを秘めたまなざしに魅了されたわ…。幼さを残した顔つき、ちょっと眉をひそめた表情、腕の1本1本、どこをとってもグッとくるのよねっ!正面だけではなく、横にあるお顔も素晴らしい。ほんと、すべてが絶妙なバランスなのよね。また興福寺にお会いしに行かなくちゃ!

肉食系男子好きのあなたには

伐折羅(奈良・新薬師寺)

伐折羅

ワイルドなタイプも好きな私にとっては、新薬師寺の十二神将・伐折羅(バサラ)も見逃せないわ! もう、すごい気迫が伝わってくるし。どんなものからでも守ってくれそうな力強さ。最近こんな強そうな人、あんまり見かけないわよね! 男らしいっ!! 服装はもちろん、逆立った髪型もすごくカッコいいっ!


いかがでしたか? 仏像は見る時々によって、表情や印象が変わります。自分の心の状態を映す鏡なのかもしれませんね。あなたもぜひ、自分のお気に入りの仏像を探してみてください! 今回、ご紹介しきれなかったことは、また別の機会に…。

お寺情報
  • 東大寺 奈良県奈良市雑司町406-1
  • 唐招提寺 奈良県奈良市五条町13-46
  • 葛井寺 大阪府藤井寺市藤井寺1-16-21
  • 向源寺 滋賀県長浜市高月町渡岸寺50
  • 東寺 京都府京都市南区九条町1
  • 広隆寺 京都府京都市右京区太秦蜂岡町32
  • 新薬師寺 奈良県奈良市高畑町1352
  • 興福寺 奈良県奈良市登大路町48

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