人、動物、さまざま生き物が集い四季折々の自然を感じられるパワースポット

鶴岡八幡宮の社

初夏のある日、神奈川県鎌倉市にある鶴岡八幡宮を訪ねました。この日は休日だったため、鎌倉の駅周辺は人でごった返していました。駅からすぐのところに、まず大きな二の鳥居が目に飛び込んできます。そこから若宮大路に添って、車道より一段高くなっている段葛と呼ばれる参道を歩いて行くと、境内へと続く朱色が美しい三の鳥居にたどり着きます。鎌倉駅からわずかな距離ということもあり、この日も大変多くの人であふれています。縁結びのご利益があるということで、若い女性の姿も数多く見られます。三の鳥居をくぐるとすぐに太鼓橋があり、そこを越えると広い参道に出ます。先ほどまでの喧騒が嘘のように、静かな時間が流れ始めます。明らかに今まで感じていた空気とは、まったく別のものになっているのがわかります。歩みを進めて行くと、心が落ち着いていくのを実感しました。

美しい建造物と美しい自然が同居

鶴岡八幡宮の建造物

この鶴岡八幡宮は、泰平6年(1063年)、源頼義が、源氏の氏神として出陣する際に加護を祈願した京都の石清水八幡宮を、由比ヶ浜辺にお祀りしたのが始まりとされています。その後、源頼朝が治承4年(1180年)に神意を伺い、由比ヶ浜辺から今の場所に遷しました。現在のような姿に整えられたのは、建久2年(1191年)です。今、私たちが参拝している御本殿は、江戸幕府第11代将軍・徳川家斉が軍文政11年(1828年)に造営したものです。

長い参道を歩いていくと、はじめに目に飛び込んでくるのが夢殿です。この夢殿は、静御前が源義経を慕い、舞いを踊ったといわれている若宮回廊跡に建てられており、下拝殿とも呼ばれています。夢殿と、高台に位置する本宮(上宮)は直線上にあり、双方をともに見るととても美しいです。

夢殿の後ろには大石段と呼ばれる階段があり、本宮へと続いています。かなり急な階段なので体力を要しますが、本宮へ到着すると、さらに澄んだ空気があふれており、ここが神聖な場所であると、改めて感じさせられます。天気が良い日には、伊豆大島まで一望できるようですが、残念ながらこの日はそこまでは見えませんでした。しかし、本宮から見渡すことのできる海と市街地の景色は絶景です。この景色を見るだけでも、上ってきた甲斐があるというものです。 しばし景色を楽しみ、いよいよ本宮へ参拝。應神天皇・比賣神・神功皇后をご祭神とし、お祀りしています。鮮やかな朱色がとても美しい本殿です。多くの人が、それぞれの思いを胸に、祈願していました。本宮でお参りを終えると、何とも言えない充実感に満たされます。自分の中に、エネルギーがわいてくるような気がしました。

鶴岡八幡宮の他の社

鶴岡八幡宮には、本宮の他に、仁徳天皇ほか三柱の神が祀られている若宮(下宮)や、多くの境内社があります。源頼朝・実朝がお祀りされている必勝祈願にご利益のある白旗神社、商売繁盛のご利益がある丸山稲荷社、後鳥羽・土御門・順徳の三天皇がお祀りされている今宮など、さまざまな神が私たちの心を救ってくれているのです。自然を楽しめる源平池には旗揚げ弁財天社があり、その傍らに北条政子にちなんだ「政子石」があります。夫婦円満の祈願石で、姫石とも呼ばれており、縁結びにご利益があるということで、多くの女性が訪れています。この日は特に人が多かったようで、弁財天社も人であふれかえっていました。

四季を感じられる癒しの場

鶴岡八幡宮は、四季を通じ自然の美しさを堪能できる場所です。

二の鳥居から三の鳥居へ続く参道、段葛。これは、北条政子の安産を祈願して造られた参道です。春には桜とつつじが満開になり、美しく咲き誇ります。両脇に桜の木が植えられているので、桜のトンネルをくぐっている状態に。

癒しの場

境内に入るとすぐに、源平池があるのですが、ここもまた多くの桜が植えられていて、桜の時期は大勢の人でにぎわいます。この源平池周辺は、桜だけではなく、夏には紅白の蓮、秋には紅葉で色鮮やかに染まり、見事な景観を楽しめます。冬から春にかけては、源平池に隣接している神苑ぼたん庭園で、大輪の花を咲かせたぼたんを見ることができます。

この源平池を眺めていると、時間が経つのを忘れてしまいます。改めて、自然の持つ美しさを感じることができるからです。花の美しさ、新緑のエネルギッシュさ、波打つ水、そういったものが、時間に追われて過ごしている日々を忘れさせてくれるのです。これだけでも、心がかなり癒されていくのがわかります。たまには時間を忘れて、池を眺めながら、のんびりと過ごしてみてはいかがでしょう。

大銀杏

鶴岡八幡宮というと、大銀杏を思い浮かべる方も多いのでは? 鶴岡八幡宮の御神木で、樹齢1000年余りともいわれていました。高さ30m、幹の回りが6.8メートルもあったこの大銀杏。源頼家の子で、八幡宮の別当を務めていた公暁が、この木に隠れて待ち伏せをし、鎌倉幕府3代将軍・源実朝を暗殺したという伝承があり、「隠れ銀杏」とも呼ばれています。この大銀杏は、鶴岡八幡宮の御神木として、長い歴史を見つめてきたのです。本宮へ大石段の横に、どっしりと構えていた大銀杏には、台湾リスが住み着いており、本宮へ参拝に向かう人々の目を楽しませていました。

ところが、その大銀杏が2010年3月、強風の影響で根元から倒れてしまったのです。ニュースなどで見た方もいるかもしれませんが、それは痛々しい光景でした。現在では、この御神木を再生させるよう、さまざまな取り組みが行なわれています。 しかし、驚くのは、すでに倒れてしまった木から新芽が出ているということ。根の部分から倒れてしまったというのに、すぐに新しい芽を出すなんて、その生命力には驚かされます。ふたたび、鮮やかに色づく大銀杏が見られる日が訪れることでしょう。

人や動物を引き寄せる大きな力

よく、本当にパワーのある場所には、動物たちが集まってくるといいます。 鶴岡八幡宮では、数多くの動物たちを見ることができます。トンビや白鷺、鯉、亀など、心地良さそうにその場にいるのがとても印象的です。鶴岡八幡宮には、人のみならず、そういった動物たちをも引き寄せる力が存在するのでしょう。 神の力と自然の持つエネルギー、それらが融合し、私たちに大きなパワーを与えてくれる場所、鶴岡八幡宮。鎌倉を訪ねる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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