女神の由来

よく西洋占いなどに登場する美しき女神の名前。その女神たちの多くは、ギリシア神話やローマ神話、北欧神話などに関係しています。そこで今回は、神秘的な神話の「愛」に関する女神について解説します。

ヴィーナス(アフロディテ)

アフロディテの概要

女神の中でも「ヴィーナス」という名は多くの人が耳にしたことがあるでしょう。ヴィーナスという名称は、ローマに入ってから使われるようになり、現在でも英語でそのように呼ばれています。ギシリア神話では、もともと「アフロディテ」という名前でした。

アフロディテの誕生は、ゼウスの父であるクロノスが、その父であるウラノスの男根を金属の鎌で刈り取り海に投げ入れた後、海からむくむくと泡が立ち、そこから生まれてきたといわれています。そしてそのアフロディテは、女神の中でも最も美しいことから、すべての男神がその美しさに見惚れ、妻にしたいと望んだといわれています。このアフロディテの誕生は、サンドロ・ボッティチェリなどにより、絵画として描かれたものが非常に有名です。

ゼウスによってアフロディテの夫に選ばれたのは、ゼウスの我が息子である、ヘーパイストスでした。その理由は、ゼウスのために、矢を鍛え上げたというところからきているといいます。しかし、ヘーパイストスは、男神の中でも最も外見が醜い神だったといいます。

アフロディテには、たくさんの愛人がおり、たくさんの子をもうけています。

アフロディテの愛

では、愛の種類という概念から見た場合、アフロディテはどのような種類の愛を象徴しているのでしょうか。一般的に、形容詞は「美と愛」もしくは「豊穣」という表現が使われることが多いです。もしくは「性愛」というところもあります。

またアフロディテは、西洋占星術で用いられる12サインのうち、おうし座の守護神となっています。おうし座は愛と美に対する感覚が優れているとされており、愛着が非常に強いところがあります。そうした美しいもの、愛情、見た目の美しさなどを象徴する「愛」であるといえそうです。

エロス(キューピッド)

エロスの概要

エロスは、アフロディテの息子であり、これもまた愛の神といわれています。エロスはよく翼のある青年のイメージで描かれることが多いです。エロスは矢を放つ話で知られています。たとえば、「黄金の矢」は、相手に恋心を抱かせる矢で、「鉛の矢」は、相手に嫌悪や憎しみを受け付ける矢です。そうしたエロスの放った矢は、ただ恋心を抱かせるだけでなく、苦しみの中の恋愛をも生み出しています。そのうち、有名なエピソードがあります。

ある日、母のアフロディテが類い稀な美貌の持ち主である人間プシュケに嫉妬し、エロスにこう命じたのです。それは、プシュケが不幸な恋にとらわれるように、というものでした。しかし、エロスが矢を放つとき、プシュケがあまりにも美しかったため、手元が狂ってしまったといいます。

そして、誤って矢に自分の手に矢を刺してしまい、たちまちエロスはプシュケに恋をしてしまいます。アフロディテは嫉妬に狂い、エロスとプシュケの間を妨害し続けましたが、結局エロスはプシュケと結婚し、プシュケを神々の仲間入りをさせたと伝えられています。

エロスの愛

エロスは、ローマ神話では「クピド」すなわち「キューピッド」を表します。いわゆる恋のキューピッドという恋愛の仲介役のことを指す言葉があります。エロスの「愛」の定義は、愛欲や肉欲のことを指します。

カリテス(グレイシズ)

カリテスの概要

カリテスは、ギシリア神話において、美と典雅の3姉妹の女神たちのことをいいます。名前はアグライア、エウフロシュネ、タリアです。彼女たちは、ゼウスとオケアノスの娘の一人である、エウリュノメから生まれたとされます。彼女たちは、神々の中で最も美しいとされるアフロディテの侍女として活躍します。また、神々が集う宴の席で、音楽に合わせて踊る役割も担ったといいます。

ギリシアの有名な詩人であるホメロスの歌を吟遊するホメリダイという存在が、祭礼などで歌ったとされる歌を収録した「ホメロス讃歌」によると、カリテスの3姉妹は、アフロディテが人間の恋人であるアンキセスを誘惑しに行こうとしたときに、アフロディテを入浴させ、身体に不死の香油を塗ったとされます。

アグライア、エウフロシュネ、タリアの愛

このカリテスさん姉妹にはそれぞれ名前の意味があります。アグライアは「輝き」、エウフロシュネは「喜び」、タリアは「花の盛り」です。しかし、彼女たちの存在が示す愛をあえて定義づけるならば、「美・愛嬌・優雅」などの美しい若い娘が持ち合わせているものといえます。その美しさによって神々を喜ばせたとされています。

ヘラ(ジュノー)

ヘラの概要

ヘラは、ギシリア神話における最高位の女神で、結婚・母性・貞節を司るといわれています。ゼウスの正妻であり、貞淑で非常に嫉妬深いといわれています。

クロノスとレアの娘です。生まれてからは、ほかの子どもたちと同様、クロノスに生きたまま飲み込まれてしまいましたが、ゼウスによって救い出され無事育てられることになったそうです。そして神界の王座についたゼウスと結婚することになります。

アレスやヘベなどを産み、育てました。結婚や主婦、出産といったいわゆる結婚した女性のイメージの守護神として定着しています。

一方で、ゼウスの度重なる浮気により、その浮気退治のために、浮気相手はもちろん、浮気を助けた者たちをこらしめるなどしたため、貞淑さや厳しさなどのイメージも定着しています。このことからしばしばネガティブなイメージとして捉えられることもあるようです。

ヘラの愛

ヘラは結婚や出産などを司る女神です。ローマ名はユノ、英名はジュノーです。ユノには家族を象徴とする意味合いもあるようです。

また、ユノには母親として子供を守る闘争心を露わにしたことから、恐ろしい戦闘の象徴でもあるといわれています。

よって、ヘラには、結婚や出産といった女性らしさのほか、夫の浮気への激しい嫉妬、そして子どもを守る闘争心など 、激しさも持ち合わせており、あらゆる愛を象徴する女神といえます。

フレイヤ

フレイヤの概要

フレイヤは、北欧神話の女神です。とても美しい女神であるといわれています。父は海の神であるニョルドです。

北欧神話には、アース神族とヴァン神族が登場しますが、フレイヤはヴァン神族に属しています。ヴァン神族は豊穣神を起源とするため、フレイヤ自身も豊穣の神として伝えられています。フレイヤのエピソードで最もメインになるのが、ヴァン神族とアース神族が対立していた際に、父のニョルド、その双子の子どもであったフレイヤとフレイがアース神族のもとへ人質として行くことになったことで、2族が無事和解したというものです。このことから、ニョルド、フレイヤ、フレイの3神は、和睦の象徴とされています。

フレイヤの愛

フレイヤは、豊穣、愛、美、恋、性愛、魔術などを象徴するといわれています。もともとフレイヤは美しく、愛を司る女神で、自由で明るい性格をしていたと伝えられています。一方で、女戦士ワルキューレを携えて、戦争で死んだ戦士たちを集めて、死者の軍団を集めたというエピソードもあります。


このように、神話に登場する有名な女神たちは、それぞれ、異なった愛を象徴しています。女性の愛といってもさまざまな形があることを知ることができます。