スピリチュアリストが解き明かす、あの世紀の愛の真相 第1回
皆さん、恋愛ほど“不思議”に満ちているものはないと思いませんか?なぜこの人を愛するのか、そこにどんな困難が横たわっていても、人はそれを乗り越えて愛する人と結ばれることを選ぶのです。時には歴史さえも動かしてしまう「恋愛」。恋愛に偶然はないのです。
歴史に残る大恋愛の内幕をご紹介するとともに、さらにその裏側に秘められた前世での関係を、スピリチュアリストの先生に探っていただき、世紀の恋愛の真実をあぶり出してみました。
第1回 クレオパトラとシーザー、アントニウス
クレオパトラは紀元前69年、当時地中海屈指の貿易港として栄えたエジプトの首都アレキサンドリアにプトレマイオス12世の娘として生まれました。クレオパトラは、無能といわれた父王プトレマイオス12世が没すると、弟のプトレマイオス13世とともに、持ち前の知性と教養と胆力を持ってエジプトを統治することになります。クレオパトラ18歳の時です。当時エジプトは地中海一帯で台頭していたローマに脅かされ、国としての生き残りにクレオパトラは腐心していました。しかし弟王は成長するにつれ、側近の扇動に乗ってクレオパトラを追い落としにかかります。そこでクレオパトラはアレキサンドリアを去り、弟王と戦う準備を始めます。そんなときにアレキサンドリアにやって来たのが、ローマの執政官シーザーなのです。
シーザーは、エジプト王朝の内紛を調停する権限を持つ、と宣言し、弟王のプトレマイオス13世とクレオパトラを召喚しました。しかしクレオパトラは、正面から王宮に戻れば弟王の手勢に暗殺されるかもしれず、弟を出し抜いてシーザーに会い、シーザーの後ろ盾を得るためにあの映画などでも知られている奇策に出ます。自ら敷物の中にくるまってシーザーの部屋まで忍び、突然シーザーの目の前に現れて、シーザーを瞠目させました。おそらくこの時の出会いは相当に衝撃的だったのでしょう。クレオパトラは、シーザーを自分の後ろ盾にするために誘惑しようとしていたのも忘れ、本当の恋に落ちてしまいました。こうして傑出したローマの武将と、知性に溢れた絶世の美女との世紀の恋が始まったのです。この時、シーザーの死後クレオパトラの愛人となるアントニウスも、部下として一緒にいたといわれています。
その後、弟王プトレマイオス13世は、シーザーによって追放され、クレオパトラは王位に返り咲きました。シーザーがエジプトに滞在した半年間、2人は恋を謳歌し、クレオパトラは、シーザーの息子カエサリオンを身ごもります。シーザーがローマに凱旋したときにはクレオパトラと息子も招かれ、盛大な凱旋式に出席しました。式が終わった後、クレオパトラたちは河畔に佇む瀟洒な別荘で蜜月の時を過ごします。おそらくこの数カ月間がクレオパトラの人生の中で一番幸福に満ちた日々だったに違いありません。この時クレオパトラはまだ24歳でした。しかしこの幸せはほんの束の間のものでした。翌年2月にシーザーは永年の独裁官に任命されますが、その1か月後に、その権勢を恐れた者達によって元老院の議場で暗殺されてしまうのです。クレオパトラは、愛する人の死を嘆き悲しむ暇もなく、エジプトへ逃げ帰ります。こうして4年にわたるクレオパトラとシーザーの恋は終わりを告げました。
ローマの侵略からエジプトを守るための後ろ盾を失ったクレオパトラに、今度はかつてシーザーの部下であったアントニウスが近づきます。アントニウスは、権勢を争っていたオクタウィアヌスに対抗するため、エジプトを必要としていました。しかし実はアントニウスは、アレキサンドリアでクレオパトラを一目見たときから恋心を抱いていたのです。アントニウスは、妻子があったにも関わらずクレオパトラと深く愛し合い、何人もの子どもをもうけました。しかし結局、アントニウスはオクタウィアヌスとの戦いに敗れて自刃し、クレオパトラもその後を追って毒をあおり自殺するのです。その時クレオパトラは39歳でした。死後、クレオパトラの遺言により2人は同じ墓に埋葬されたといわれています。
これが知っているようで知らない、クレオパトラの恋の概要です。その政治的な背景は複雑で、一見利害だけで結びついた恋のように見えますが、霊視いたしますと、3人の織りなす真実の恋愛模様が見えてきます。クレオパトラは、エジプトが生き残るための後ろ盾を得るために初めはシーザーに近づき、後にはアントニウスの愛を受け容れました。しかしクレオパトラは、心からこの2人を愛し、その生涯を全うしたのです。波乱と激動のなかに生きたクレオパトラですが、恋愛という観点でみた場合、2人の勇猛な男と真実の愛を分かち合うことができたクレオパトラは、女性としての幸せを手に入れることができたといえるでしょう。
この3人をリーディングいたしますと、時空を超えてやはり繋がっていることが分かりました。3人が織りなした愛のドラマには、やはり成されるべくして成された前世からの因縁があったのです。3人の前世は、300年ほど前の古代マケドニアに遡ります。クレオパトラは、古代マケドニアの首都ペラに住む豪商の娘でした。彼女には親が決めた婚約者がおり、それがペラに住んでいた貴族、前世のアントニウスだったのです。彼は、当初親の財産が目的でしたが、美しい娘にしだいに惹かれ、本当に愛するようになっていました。しかし、彼女が愛していたのは、前世のシーザーであり、このときシーザーはなんと彼女の家に仕えていた奴隷でした。当時の身分制度からいって2人の愛は成就するはずもなく、2人は駆け落ちを企てますが、親の仕立てた追手に捕まり、奴隷のシーザーは殺され、娘のクレオパトラは自害してしまったのです。前世のアントニウスは娘の死を嘆き悲しみ生涯独身を通しました。
この3人の遂げられなかった思いが、ローマとその脅威が忍び寄るエジプト、プトレマイオス朝に蘇り、3人はついにそれぞれの愛を実現することができたのです。愛の真実とは、いかに深いものかと今さらながらに思い知らされるリーディング結果でした。