不動明王のパワーを授かる!三十六不動尊霊場のススメ

「成功している友人が羨ましい」「裏切った恋人が憎い」など、心を乱す感情を持っていないでしょうか。心身を乱す煩悩を拭えないと、魂が汚れてしまい人生がうまくいきません。煩悩がある人は不動明王に妄念・邪念を焼きつくしてもらいましょう。日本には三十六不動尊霊場が各地にあるため、不動明王のパワーを授かれる三十六不動尊霊場を今回は解説しましょう。地方別に解説するので、住んでいる地域の三十六不動尊霊場の特徴が一目でわかります。

不動明王とは

不動明王は、憤怒の形相と炎に包まれた姿が特徴の不動尊です。形相は慈悲を表し、炎は煩悩を払い、邪悪な存在から救い出してくれます。

表情|憤怒の形相

不動明王とは大日如来の化身です。柔和な顔つきの大日如来とは対照的に、憤怒の感情をあらわに鬼の形相をしていますが負の念ではありません。人間が悪事を働かないように見張っているのです。たとえ道を外した人間がいても見捨てることなく全力で救済します。憤怒の形相は慈悲深さの表れと言えるでしょう。

風貌|炎に包まれた不動尊

不動明王は人間界と仏界を分ける火生三昧(かしょうざんまい)に身を置く不動尊です。炎の神として炎を自由自在に操り、人間を悪から救います。後方で燃え盛る火焔「迦楼羅炎(かるらえん)」は、毒をもつ動物を食べる伝説上の炎の鳥「カルラ」が由来です。迦楼羅炎によって人間の毒となる108つの煩悩が成敗されます。

右手に持つ倶利伽羅龍王が巻きついた炎の剣「倶利伽羅龍(くりからりゅう)」は、迷いや邪心を断ち切ってくれます。さらに、左手に持つ網「羂索(けんさく)」で邪心を縛り上げ、一度つかんだ悪は絶対に逃しません。

三十六不動尊 「三十六」の意味

36の数字は、不動明王の眷属である童子です。また人間の煩悩の数を表すともいわれています。人間の煩悩は六根(眼、鼻、耳、舌、身・意)ごとに「好」「悪」「平」の3種類の煩悩があり、6×3=18通りとします。さらに、18通りの煩悩は、「浄(清い)」と「染(不浄)」の2種類に分けられるため、18×2=36通りです。

なお、煩悩が108とされる理由は、上記の36通りの煩悩が「前世」「現世」「来世」の三世に続くため、36×3=108で表されます。

霊場巡礼

日本各地には不動明王のパワーを授かれる、三十六不動尊霊場が多数あります。不動尊霊場巡礼の特徴を地方ごとに紹介しましょう。

北海道|北海道三十六不動尊霊場

北海道の三十六不動尊霊場は、1989年に北海道内の真言宗の寺院を巡礼する霊場として開創されました。悟りを開き真実を追求する仏道を4つの階層で表した「四門」に沿って、「発心」「修行」「菩提」「涅槃」ごとに4道場を配しているのが特徴です。道場道央と道北をつなぐ「発心」、道東をつなぐ「修業道場」、道南をつなぐ「菩提道場」、札幌と小樽をつなぐ「涅槃道場」それぞれに霊場が集まります。

東北地方|東北三十六不動尊霊場

東北三十六不動尊巡礼は各県ごとに6つの霊場を配置し、6県を合わせると三十六不動尊霊場になります。仏の境地へ至る6つの修行「六波羅蜜」をもとに構成されています。青森県は苦難に耐える「忍辱」、秋田県は正しい生活を営む「持戒」、山形県は利益を与える「布施」、岩手県は勇気を持ち進む「精進」、宮城県は動じない心「禅定」、福島県は真実を見る「智慧」をそれぞれ意味します。

関東地方|関東三十六不動霊場

関東三十六不動尊霊場とは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県による、36カ所の不動明王不動尊霊場の巡礼です。「四門」に沿って、東京都が「修行」、神奈川県が「発心」、埼玉県が「菩提」、千葉県が「涅槃」とそれぞれ道場が割り振られています。めぐる順番に決まりはなく好きな場所から巡りましょう。なお、関東には群馬県、栃木県、茨城県の3県の三十六不動尊霊場を巡る「北関東三十六不動尊霊場」もあります。

近畿地方|近畿三十六不動尊霊場

近畿三十六不動尊霊場は、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の2都4県による、不動尊を祀る36カ所の霊場巡礼です。宗派に関係なく様々な宗派の霊場が選出され、1979年に開設しました。現在では全国の各地方に不動尊巡礼が存在しますが、近畿三十六不動尊霊場はその先駆けと言われています。日本情緒漂う歴史の趣を感じる寺院が多いのが特徴です。

中国地方|倉敷厄除大不動明王

中国地方には他の地方のような三十六不動尊霊場はありません。しかし、広島県の宮島には、朝鮮出兵の際に安全を祈願したことで有名な「波切不動明王」が祀られています。

他には、福山市の県指定重要文化財「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)不動明王画像」や、岡山県の「倉敷厄除大不動明王」があります。個々で巡礼できる寺院があるのが中国地方の特徴です。

中部地方|東海三十六不動尊霊場

東海三十六不動尊霊場とは、愛知県、三重県、岐阜県の三十六不動尊霊場を指します。ご本尊である南無大日大聖不動明王を念じながら、不動明王のパワーを感じましょう。

中部地方には東海3県以外にも三十六不動尊霊場があります。石川県、富山県。福井県の三十六不動尊霊場からなる、「北陸三十六不動霊場」です。コースに決まりはないものの、能登半島からスタートして富山県へ向かい、石川県から福井県小浜市に辿り着く巡礼コースが有名です。

四国地方|四国三十六不動尊霊場

四国三十六不動尊霊場は、徳島県、香川県、高知県、愛媛県の4県からなる36カ所の不動明王霊場を指します。四国地方は弘法大師空海の生誕の地であり、不動明王と深い縁があると言えるでしょう。

四国地方の三十六不動尊霊場では、巡礼にあたり必要な参拝アイテムを豊富に用意しているのが特徴です。通販サイトがあるため、経本や着用白衣、輪袈裟止め、数珠に至るまでトータルで簡単に揃えられます。

九州地方|九州三十六不動霊場

九州三十六不動霊場は、1985に開設された大分県、宮崎県、鹿児島県、熊本県、長崎県、佐賀県、福岡県の7県からなる三十六不動霊場です。巡礼すると不動明王から6つの功徳を授かれるとされています。6つの功徳とは、「貧瞋痴の三毒を離れる」「福智円満」「子孫繁栄」「諸願成就」「現当二世安楽」「先祖供養」です。

なお、「貧瞋痴」とは、貪欲、憎悪の怒り、思慮分別が足りないことを意味します。「現当二世安楽」とは、この世と霊界の二世において幸福に暮らせるという意味です。

霊場巡礼で得られるご利益

三十六不動霊場巡礼で得られるご利益は煩悩退散のほかに、人間が持つ4つの苦しみを取り除いてくれます。仏教には、苦しみには必ず原因があり解決法が存在すると説いた「四諦(したい)」という教えがあります。不動明王は四諦の真理に基づき多くの人々の悩みを解決し、苦しみを断ち切ります。

不動明王のパワーを授かれる三十六不動尊霊場は、日本の各地方に存在します。煩悩から解放され弱い心に打ち勝ちたいと願う人は、ぜひ巡礼してみましょう。


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